自分、35歳、独身、会社員。
今でこそ、キャンプは車で行く。荷物を全部積んで、キャンプ場に横付け。楽なもんだ。
でも、最初からそうだったわけじゃない。
キャンプを始めたばかりの頃。自分はなぜか「徒歩キャンプこそ本物」と思い込んでた。
車で横付けなんて軟弱。全部背負って、自分の足で歩いてこそキャンプだ。そう信じてた。
若かった。
なぜ、徒歩にこだわったか
たぶん、YouTubeの見すぎだ。
バックパック一つ。それを背負って、電車とバスを乗り継いで山に入る。テント張って、焚き火して、また背負って帰る。
かっこいいと思った。装備を最小限に削ぎ落とす、みたいな思想。ミニマリスト感。
自分も、あれをやりたかった。
で、やった。結論から言う。地獄だった。
準備は完璧だと思ってた
まず、大きめのバックパックを買った。60リットル。
そこに詰めた。テント、寝袋、マット、着替え、食料、水2リットル、グリル、炭、ランタン、折りたたみ椅子。その他、こまごま。
パッキングした時点で、既に嫌な予感はあった。
重い。
持ち上げて背負って、「……お?」ってなった。でもその時は、まだ「歩けば慣れるだろ」くらいに思ってた。
思ってた。
駅までで、既に後悔
家を出て、駅まで歩いた。徒歩15分。
駅に着く前に、後悔した。
肩に食い込む。ベルトを締めても、ずり落ちる。腰が痛い。汗が噴き出す。
まだ駅だ。山はこれからだ。
すれ違う人が、チラ見してくる。60リットルのバックパックを背負って、汗だくでフラフラ歩く男。そりゃ、見る。
電車に乗った。座れなかった。バックパック、重くて、網棚に上げられない。足元に置いた。邪魔。
バス、山道、そして絶望
電車を降りて、バスに乗り換え。
バス停までまた歩く。もう肩の感覚はない。
バスに揺られて、キャンプ場の最寄りへ。そこからキャンプ場まで、徒歩20分。
この20分が、人生でいちばん長い20分だった。
上り坂。舗装されてない、砂利道。一歩ごとに、バックパックが、上下に揺れて、肩を殴ってくる。
途中で、三回、止まった。「なんで、こんなことしてるんだ」と、本気で思った。
かっこいい徒歩キャンプ。現実は、ただの、拷問だった。
キャンプ場に着いた頃には、もう
やっと、キャンプ場に着いた。
着いた頃には、もう、疲れ果てていた。
本来なら、ここから、テント張って、焚き火して、楽しむ時間だ。でも、自分は、地面に座り込んで、しばらく、動けなかった。
「……もう、帰りたい」
着いて、早々、帰りたくなった。何しに来たんだ。
しかも、だ。この荷物、帰りも、また、背負うんだ。その事実に、気づいて、さらに、絶望した。
何が、間違ってたか
冷静に、振り返る。
自分の失敗は、シンプルだ。車キャンプの装備を、そのまま、背負おうとした。
- グリルと炭 → 重い。徒歩なら、小型のバーナーで十分
- 折りたたみ椅子 → いらない。地面か、荷物に座れ
- 水2リットル → 現地に水場があるなら、削れた
- ランタン → ヘッドライト一個で足りた
徒歩キャンプは、「車の装備を、背負う」んじゃない。「徒歩用に、装備を、一から、削ぎ落とす」ものだった。
そこを、分かってなかった。だから、60リットルが、パンパンになって、肩が、死んだ。
徒歩キャンプが向いてる人、向いてない人
一回やって、分かった。徒歩キャンプは、向き不向きがある。
向いてる人:
- 装備を、極限まで、削るのが、好きな人
- 歩くこと自体が、目的の人
- 軽量ギアに、金をかけられる人
向いてない人:
- 自分みたいに、ビール2本、鶏肉、椅子、全部持ってきたい人
- 快適さを、捨てられない人
- 単純に、楽したい人
自分は、完全に、後者だった。だから、今は、車キャンプに、落ち着いてる。
でも、一回はやって、よかった
ボロクソに書いたけど。一回、やってよかった、とも思う。
あの、拷問みたいな山道を、経験したから、今、車で横付けできるありがたみが、分かる。
それに、徒歩キャンプの「装備を削ぎ落とす」思想は、車キャンプにも、活きてる。「これ、本当に、いるか?」って、考える癖が、ついた。
かっこよさに、憧れて、痛い目を見て、身の丈に、合ったスタイルに、落ち着く。
キャンプも、人生も、だいたい、そんなもんだ。
もし、これから、徒歩キャンプを、やりたい人がいたら、一個だけ、言いたい。
車の装備を、そのまま背負うな。肩が、死ぬぞ。
以上。
